無人島 投稿者:弱音伯(よわね はく)

友ヶ島

十年以上前の夏の話です、僕の家族と友達の家族で無人島に二泊三日でキャンプへ行きました。
当時小学生だった僕と友達ははしゃぎまくって海で泳いだり、バーベキューを楽しんでいました。
三日目の朝、親たちが帰り支度をしている間に僕と友達は近くの展望台へ行くことにしました。

展望台は丘の上にあって、ジグザグな坂道を登れば着くのですが、当時体力のなかった僕には結構な道のりでした。
坂道の周りにはたくさん気が生い茂っていて、ほとんど森のようでした。

半分くらい歩いたところで僕の前を歩いていた友達が急に
「ハクちゃん(僕)…..」
と言って立ち止まりました。

「どうしたん?」と言おうとした瞬間、気づいてしまいました。

何かがいる

僕達の前に何かがいるのを感じました、ですが前に人が歩いているわけではなく
猫などの動物がいるわけでもありません。

「…..」

僕と友達はその場から動くことができませんでした。

たった数分が数十分、数時間とも錯覚しはじめたころ
背後から首筋に、生暖かい風が吹きました、今思えば吐息と全く変わりなかったと思います。

その瞬間、僕と友達の恐怖感は一気に限界に達し
「ハクちゃん逃げよ!」
叫ぶように言って友達は自分たちのテントの場所に向かって走り出し、僕もつられて走りました。
全速力で親のところに戻った僕達は、坂道での事を親に話しました。
けど親は「隣に海があるんやから温風でも吹いたんやろ」と笑って信じてもらえませんでした。

友達はもう一度行って確かめようと坂道を登ろうとしましたが
親達がちょうど帰り支度が済んだあとだったので、そのまま帰ることになりました。

あれ以来無人島に行く機会はなくなり、友達とも疎遠になりました。

数年後、高校二年の頃に急に無人島のことを思い出し、興味本位で学校のPCで無人島のことを調べてみました。

その島には、第一,第二,第三砲台跡があり
第二次世界大戦の最中に海外艦の侵入を防ぐ役割を担っていたようです。
どれほどの死者が出たのか、そこまでは調べることができなかったのですが
僕と友達が感じたのは、戦時中に砲台に関わっていたモノだったのかもしれません。

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