親友のお別れ 投稿者:東京のカレー屋P

20年近く昔の出来事ですがあまりにも衝撃的だったため、今でも鮮明に覚えています。

自分はゲームが好きで、毎日のように友人(以下A)と時間を忘れてゲームで遊んでいました。
そんな友人がある日、実家のある東北へと帰ってしまう事がありました。当時は今のようにネットワークゲームも進んでおらず、遊べる機会が少なくなるなと悲しみながらも東京に来た時はまた遊ぼうぜとAを送り出しました。

そんなある日、友人の彼女から一本の電話がありました。内容は

“”Aと連絡が取れなくなった、行き先を知らないか””

という内容、家族や彼女にも連絡せずに音信不通、つまりは失踪である。
当然自分も初耳でかなり驚きました。Aは明るく器用でしっかりしており何の連絡もせずに失踪するなどまったく思えない人物だったからです。
その場はとりあえず””何かわかったらすぐ連絡する””と伝え電話を切りましたがなにぶん見当がまったくつかず自分ではお手上げの状態でただただ無事を祈る事しか出来なかったです。

それから数日後、休日ゆえ自宅のソファーで昼寝をしていた時に夢を見ました。
夢の中で自分は地下鉄のホームのようなところで電車を待っていました。ちょうど階段を降りて折り返した付近、黄色い線と階段の壁との狭いスペースにもたれかかるようにして電車を待っていると、背後の階段から人が1人降りてきました、Aです。
ホームに降りてきたAはいつもゲームセンターで会う時のような普通の様子で『おーー!』と挨拶をしてきました。
俺も挨拶を返しながら『オイオイおまえ何してたんや、なんか皆んなめっちゃ心配しとったぞ?』と言うとAは少し恥ずかし笑いをするような感じで『….、ごっめんごめん(笑)』と謝ってきました。まあ無事だったのならと安心したのかそれ以上は追及せず『ちゃんと連絡しときーや。あとまた東京来た時は飲みにでもいこーや』と、いつもの感じで会話をしていると電車がホームにやってき、扉が開きAはその電車に乗り込み去って行きました。

そこで目が覚めました。そしてそれから20分も経たずして一本の電話が。
内容はAの彼女からでAが東北の山中にて車の中で遺体で見つかったとの報告。自殺でした。
その報告を受け、自分は先ほど見た夢を思い出し不思議な感覚に陥りました。

電話で先程の夢を話すと相手も偶然にしてはタイミングが良すぎるねとお互い驚きを隠しきれませんでした。

色々な想いが頭をよぎりました。
夢を見たすぐ直後に遺体が発見された事、自分が先にホームで待っていたのになぜ自分はAを””見送った””のか?
地下鉄タイプの電車は各駅停車のみなので普通に考えると自分も一緒にその電車に乗るはず、ホーム中央なら反対側という考えも出来るが自分がいたのは明らかに片側の電車にしか乗れないような乗車位置なのに。

もしかしたらあの電車は死者を運ぶ乗り物で生者は乗る事が出来ないものだったのかもしれません。
もしあの電車に自分も乗っていたらどうなっていたのか想像も付きません。
彼のしっかり者の性格ゆえ、律儀にも最後のお別れを言いにやってきたのかな?ごめんと謝った時に僅かにあった無言の””間””が何だったのか?

わからないことだらけですが今でも一つだけ言える事があります。

もう一度Aと一緒に遊びたい、何があっても生きていて欲しかった。
でももう叶わない、過去は変えられないから彼とゲームで遊ぶことはもう出来ない。

だが未来は作れる、だから俺はお前の分も頑張って最後まで生きてみせてあっちに行く時はその時の最新ゲームを持っていくからまた遊ぼうな、Aのゲームの腕が最新ゲームについていけずに俺の無双になっちまうのをあの世で震えて待つがいい。

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