子供の頃にあった暖かい怪談 投稿者:ノッケン

みなさん、コプにちは。
コープスパーティーシリーズを愛している韓国人のファンです。
今回は僕が小学校の1年生だった頃にあった体験談を紹介しようと思います。よろしくお願いします。

土曜日がまだ登校日だった頃の土曜日、教室で僕の隣に座っていた女の子が僕に手紙を渡しました。
その子は僕だけではなく、その子と親しかった何人かの友達にも同じ手紙を渡してくれました。

手紙の内容は要するに
「明日は私の誕生日だよ。君が忙しくないなら、私の誕生日パーティに来てくれない? 明日午後4時、学校の校門の前で会いましょう。」
こんな感じの内容でした。

僕は日曜日に他の約束もなかったし、その子の誕生日パーティーに参加することにしました。

そして翌日午後4時、僕は学校の校門の前に到着しました。もちろん、校門は閉まっていました。
校門の前にはすでにその子に招待された友達が何人か立っていたので、僕は彼らにあいさつした後、一緒に待ち始めました。
ところで僕たちがいくら待っても、僕たちを招待した子の姿は現れませんでした。

30分が経つと、友達の一人が
“もう待てない”
と言いながら家に帰ってしまいました。

再び10分が経つともう1人が帰り、また1人、また1人…
一人一人が家に帰ってしまって、最後は僕一人で校門の前に立っていました。

僕も家に帰りたい。
でも僕たちを招待してくれた子が校門の前に来たとき、自分を祝ってくれる人が誰もいないと思って傷つくのは見たくない。
そう思って僕は何時間も待ちました。時計を持っていなかったので僕がどんなに待ったのかも知りませんでした。

夏だったので日の暮れるのも遅れた時期だったのに、日がとっぷり暮れるまで待っていました。
待つのに疲れて僕も“家に戻るか”と考えていた時、後ろから誰かが僕に声をかけました。
後ろを振り向くと、校門の向こうから初めて見るカッコイイお兄さんが立っていました。

僕はそのお兄さんに“誰ですか”と聞くと、お兄さんは自分を“この学校の守衛だよ”と紹介しました。

守衛のお兄さんは“君がさっきからずっと校門の前に立っているのを見たよ。 どうしたの?”と聞き、僕は事情を説明しました。

僕の話を聞いたお兄さんは優しく微笑み、こう言いました。

“もう夜9時だよ。もしその子がここに来たら俺が言っておいてあげるよ。君は家に帰りなさい。うちでお父さんが心配してるんだよ。”

僕はお兄さんに“ありがとう”と言った後、家に帰りました。

でも不思議ですね。同日、僕の母は祖母の家に行って家におらず、家には父と僕しかありませんでした。
そして守衛のお兄さんは両親やお母さんではなく、お父さんが心配しているという言葉をしました。普通はお母さんが心配してるよって言いますよね。

そんなことがあった後の月曜日、僕は友達と先生に、昨日守衛のお兄さんと会ったことについて説明しました。

すると、先生がおっしゃいます。
“何を言ってるの? 私たちの学校の守衛はおじいちゃんしかいないよ?”

では、当時の僕が会った守衛のお兄さんは誰だったのでしょうか。今でも疑問です。

P.S
僕をパーティーに招待した子がどうなったかというと、実はそのパーティー、土曜日にすでにやってたそうです。

その子が僕たちにくれた手紙を書いたのは金曜日の夜でしたが、僕たちが学校で手紙を受けるのが土曜日ということは考えずに手紙を書いた当時を基準に

「明日は私の誕生日だよ。」って手紙を書いたのです。

それを聞いていなかった僕は日曜日に学校に出て苦労をしたのです。

その子の母がその話を聞いて、パーティーに参加しなかった僕と友達のために、あとでお詫びのパーティーをまた開いてくれました。

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同居人 投稿者:樹里

数年前、私がまだ学生だった時の話です。

私は、とてもお世辞にも綺麗と呼ぶことは出来ないマンションに住んでいました。
一回部分が居酒屋さんで、二階部分からが住居になっているという造りで、私はこの時三階住み。

ある日学校での活動で帰宅が遅くなり、マンションの前に着いたのが午後9時過ぎだったかなと思います。
革靴なので、コツコツと音を立てながら三階まで階段を上がり、さぁ玄関を開けようと家の鍵を鍵穴に差した瞬間でした。

すぐ真後ろから、カツーン…高いヒールで廊下を踏んだような音がして、びっくりして振り返り、それが何なのか見えた瞬間、思わず体が強ばり動けなくりました。

私の真後ろにいたのは、首を異様なまでにうつむかせ、肩口までの髪がその顔を隠し、水色のスーツを着た女性が、私の背中ピッタリのところに立っていたのです。

変な人だとか思うより、【これはダメなやつだ】と瞬時に理解しました。

震えながらなんとか鍵を開けて、もう振り返ることなく玄関に転がるように飛び込み、すぐに鍵をかけ、チェーンをしてから覗き穴を見てみましたが、そこに女性の影も形もありませんでした。

他にも色々体験はありますが、強烈な内の一つを話させていただきました。

少しでもゾッとしていただけたら幸いです。

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鬼の面 投稿者:がんきゅー

私の祖父母の家には、二本の長い角を生やした黒塗りの鬼の面がある。
仏壇を向いてそのお面は、廊下の真横、壁の上に飾ってある。
何度か、なんであんなものがあるのか祖母に尋ねたが、毎回うまくはぐらかされる。

「あれ怖いやろ」「節分の時怖がるように買ったんや」
絶対嘘だとおもうような冗談でいつも躱される。
あのお面が、飾るための板から外れないのは知っているし、被る用にできていないことも知っている。
私は、本当のことを知りたかった。

ある夏、祖父母の家を訪ねると、祖父が一人で留守番をしていた。
祖父は基本無口で会話らしい会話はしない。
しかしこの日は少し違った。

祖父は祖母にタバコを止めるようきつく言われているが、まさに鬼の居ぬ間のなんとやら、家に入ると独りタバコをふかしていた。
祖母には黙ってて欲しいからか、祖父は私に小遣いをくれたり、勝手に昼飯を食べだしたらおかずに刺し身の残りをくれたりした。
もしかしたらこの流れなら鬼の面の秘密が聞けるのではと思い、テレビを一緒にみながら話題をふった。

すると、意外にも簡単に、だけどどことなく真剣で、それでも私を少し恐がらせたそうな感じで話してくれた。

「あのお面をつける前、丁度仏壇の真上にMやらY(伯母たち)の部屋があってな。あの子ら夜になると真下から唸り声みたいなんが聞こえて寝れへんて下のワシらの部屋まで泣きついてきたんや。
ウチは前の家から仏壇持ってきたさかい、なんぞご先祖様の機嫌でも損ねてしもうたんかと思うて困ってたら、今はもうおらんワシの姉さんが、コレを仏壇の向かいにつけろいうて、あのお面をくれたんや。それつけてからはなんも起こらんくなってな。そういうわけや。」

そんなことあったんかと思いふけるまもなく、祖父はまだ言葉を続けた
「ただ、この話を聞いたと、婆さんには言うなや。なんやその一件婆さんは気に食わんかったらしくてな。鬼より先祖よりワシは女のが怖いわ」
そう締めくくって祖父はまたたばこをふかした。

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裁ちばさみの女 投稿者:しぐろ

これは私が7歳のときに起きた不思議な出来事です。

一緒に住んでいる家族は両親と祖母と私の4人だけ。祖母は昔から霊感が強いと自称するほどよく幽霊や怪奇現象を見ることが多い人でした。

夏休みも迫るある蒸し暑い夜、いつものように祖母は自室で、両親と私は夏の間だけ、涼しい床の間で布団を敷いて寝ていました。
祖母はその日の夜に女のひとに圧しかかられ襲われるという夢をみたそうです。

その手には大きな裁ちばさみが。

強い力で祖母の首もとに開いた状態のはさみの刃を押し付けてくる女と、切られまいと懸命に抵抗していた祖母。何分格闘していたのか、曖昧な時間が経った頃、なんとかはさみを持つ女の手を首もとからずらし頭上へ押し上げたことによって枕へとその刃が突き刺さりました。
それと同時に祖母は夢から覚め、今起きていたことがただただ恐ろしい悪夢であったことを自覚しそして安堵したそうです。

朝になり、母が一番最初に起床して、次にまだ眠っている私を起こそうと私の方へと目を向けると、そこには不自然なほどに散らばった髪の毛が。

抜けているにしては量が多く不自然で、不思議に思った母は私の頭をよく確認すると、頭頂部から少し右下のあたりから髪がひと房、はさみで切られたようにすっぱりと短くなっていることに気付きました。

寝惚けて自分で切ったのか、でもそんな記憶はないし、はさみを持ち出して片付けた様子もなく、何とも言えない空気のまま不格好になった髪の一部はヘアピンで押さえて過ごすことに。

家族で朝食を摂っていると、祖母はみた夢の話をぽつぽつと語ってくれました。

話を聞いているうちに、もしかして私の髪が突然切られたような状態になったのは、祖母の夢に出てきた裁ちばさみを持った女が原因なのではないか、という結論になりました。

突拍子もないただの夢の話ですが、あまりにリンクし過ぎていて不気味な出来事だったため、家族の誰にも笑い話になりませんでした。

なぜ祖母の夢で襲われた祖母自身ではなく、私のほうに影響が出たのかは未だにわかっていません。

ただ夢の中で祖母がそのまま抵抗できず襲われていたのなら、起きたときにどうなっていたのか、大人になった今でもたまに想像してしまいます。

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大掃除にて 投稿者:Akari

あれは僕が中学生だったころの話です。平成も真ん中を過ぎた暑い夏のこと。
僕が所属していた生徒会での出来事です。

生徒会室では以前からおかしなことは良く発生していました。
誰も近くにいない引き戸が急に勢いをつけて閉まったり、
生徒会室横にある水道から誰も触っていないのに水が出ていたり。
皆、「何か変だね」「怖いよね」なんて話をしていたのを覚えています。

そして、夏休みが目前に迫ったある日、
生徒会長の「大掃除しよう!」という言葉がきっかけで生徒会室の掃除を行うことになりました。

大掃除を初めて少し経ったときメンバーの一人が壁を指さし、
「あれ、なんだろうな?」と言いました。
つられて見てみると、まるで何かを隠すように壁にガムテープが何重にも長方形の形をとるように貼られていました。
普段は物のうしろにあったので気が付かなかったのでしょう。
好奇心に負けた僕らはガムテープの封印を解くことにしました。
椅子を足場に、ガムテープをはがし中を見てみると…

そこには小動物と思われる白骨がありました。

すぐさま混乱が広がり、生徒会室は阿鼻叫喚。
担当の教師が駆け付け騒ぎは収まり、僕らも帰宅させられました。

その後、あの白骨がどうなったのかは誰も知りません。
誰も見たがらなかったからです。
しかし、それまで起きていた不思議な現象が起きなくなっていたので
きっと、見つけてほしかったのだと皆が口々に言っていました。

僕の不思議な体験はこれで終わりです。
身の回りで不思議な現象が発生する方、もしかしたら「何か」が「自分を見つけてくれ」と
あなたに言っているのかもしれませんね…

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深夜のテニスコート 投稿者:ムーンハイツ

二十年ほど前、アスカさんが中学一年生の頃の話。

当時、彼女は年上のシュン君に片想いしており、頻繁に連絡を取り合っていた。
その夜も、自宅で電話越しにぺちゃくちゃと彼と雑談していた。彼から「今からちょっと、コンビニ行かない?」と誘われ、アスカさんは快諾した。

夜間に、しかも片想い中の男性とふたりで会うことは、アスカさんにとって初めての経験だった。夜だというのに張り切ってオシャレもした。もしかしたら手を繋いでくれるかも……と淡い期待を胸に秘め、ワクワクしながら彼が自宅前まで迎えに来るのを待っていた。

シュン君と合流した後、一緒に歩いてコンビニへ向かった。当時は最寄りのコンビニに行くにも、歩いて二十分ぐらい要した。それでもアスカさんは、彼との初デートに内心かなり浮かれていた。

他愛ない話をしながら、ゆっくりと歩いて行く。その途中、アスカさんが通っていた中学校に続く道があった。「コンビニに近いから、そこを通って行こう」ということになり、中学校の方に向かった。

校舎の周囲には街灯が設置されているが、点灯していないものもあったり、点灯していても光量が乏しいものが多い。そんな中、ぼんやりと校舎が見え、薄暗い中でテニスコートが正面に見えてきた時のこと。

ダンッ……ダンッ……ダンッ……ダンッ

ボールを地面につくような音が、聞こえてきた。
音の感じからして、バスケットボールかな、とアスカさんは思った。少し重さのあるような音だ。

隣を歩くシュン君も、その音に気付いたようだ。「こんな時間に、自主練してんのかな?」と彼が不思議そうに呟く。時刻は二十二時を過ぎている。
「真面目な奴も居るもんだな」と彼が感心したタイミングで、テニスコートにひとりの人影が見えた。

……ダンッ……ダンッ……ダンッ……ダンッ

「あの子が練習してんじゃない?」と、アスカさんがその人影のほうを指差した。

「ああ、マジだ。アイツすげぇな。こんな時間まで練習するなんてな」
「でもさ……。テニスコートでバスケの練習って、なんかちょっと変じゃない?」
「言われてみれば……。そうだな、おかしいよな……」

ふたりでそんな話をしながら、テニスコート側へと向かって歩いていた。

「ちょっ……? えっ……? アイツ、なんか変だぞっ」

突然、彼が焦るように小声で言ってきた。
アスカさんも目を凝らし、その人影をまじまじと見つめた。

ダンッ……ダンッ……ダンッ……ダンッ……

その人影が、地面についているボール。
それは、ボールではなかった。
───頭。
人間の頭だ。

街灯の逆光で顔や服装などははっきりと分からないが、全身真っ黒のシルエットのその人影は頭部が欠けていた。首のない胴体が、(おそらく自分の)頭部をバスケットボールのように手で地面に弾ませている。

アスカさんは全身が凍りついた。隣のシュン君も同じ状態に陥っているようだ。怖くて一刻も早くそこから逃げ出したかったのだが、身体が強張って直ぐには動けずにいた。
すると、その <頭のない人影>が彼女たちの存在に気付いたようだった。それまで地面についていた頭部を両手に抱え、こちらに向かってゆっくりと歩き出した。

「ヤバいっ……! ヤバいっ……! ヤバいっ!」

シュン君は更に焦りだす。

その間にも、人影はゆっくり、またゆっくりとじわじわ接近してくる。アスカさんは、逃げたいのに動けない恐怖と、目を逸らしたいのに何故か目が離せない不思議で奇妙な感覚に襲われていた。

「ヤバいって……マズいって!」

隣でシュン君がすっかり狼狽していた、その時。
アスカさんの耳元で、少年らしき声がひとこと聞こえた。

いっしょに、やろう?

瞬間、シュン君がアスカさんの腕をぐいと掴んだ。そして「おいッ。早く逃げるぞ、走れ!」と言い放って凄まじい勢いで走り出した。

シュン君に腕を掴まれ、引っ張られながら走っていた彼女は、脚がもつれそうになりながらも必死で走った。彼の速度に合わせ、それまで歩いて来た道を全力で駆け抜けて引き返した。

アスカさんの自宅前まで走って戻った時には、ふたりとも息が上がっていた。幸い、その人影は追跡してくることなく、無事に逃げ切ったようだった。呼吸が落ち着き始めた頃、彼女はシュン君に聞いてみた。

「ねぇ……あの人影の声、聞こえた? 『一緒にやろう?』ってやつ」
「ああ、聞こえたよ……」

彼は続ける。

「その前から声は聞こえてた。『どこに行くの?』『僕も、ついてっていい?』って……。そう言いながら、アイツはこっちに向かって来てたんだ。でもお前が動かなかったから、お前の腕を掴んで逃げたんだよ」

彼によれば、その人影がアスカさんを動けないようにして、そのまま彼女を<どこか>に連れて行こうとしていたそうだ。

その後もアスカさんはそのテニスコート付近を時々通ったが、その人影を見たのはその日が最初で最後だった。

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「幽霊の出ない事故物件」 投稿者:マシンガンジョー

小此木さんという男性に聞いた話。

おそらく、知らずに住んでいた。
あとで、この物件はそういう類いの物件だったんだと気づいたくらいでね、

よく、事故物件だと幽霊が出るのが、当たり前じゃないですか。

だけどね、僕の住んでいたアパートは、幽霊は出ない。

だけどね、妙な現象が度々起きる。

水道の水がまっすぐ流れてるのが途中でかくんと折れ曲がる。
いきなり押し入れや戸が、勝手に開いたり閉まったりする。

ポルターガイストじゃないですか?
そう言うと、違うと首を振る。

「そもそも私幽霊信じてないから違うんですよ」

起きている現象は、明らかに事故物件ならではの現象だが、
それを否定する。
否定しながら、説明する。

実は、そんな現象のひとつひとつは、自分が想像したものだと話す。
だから想像が現実になっただけで、事故物件とは一切関係ないんだと開き直ってしまう。

ただ、それを裏付けるように、過去その部屋で死人が出た、あるいは幽霊が出た話なんて微塵もない。

だから事故物件ではあっても心霊とは無縁なのだろう。

ただ、と最後に

「どうしても片付かないことがあるんだ」
と、言う。

小此木さんが、ひとつだけ想像が形にならなかったことがある。

「越す前の日の夜に出たんだ」
幽霊ですか?と私が聞くと、
やはり否定して、
「顔がどうしても別れた妻に似てるんだよ」
寝ていると、隣にぴったりと寄り添うように座る人物がいる。

「想像がまた形になった」
そう思ったが、女の顔を見た瞬間、がっかりする。
美人を想像したのに、いつもなぜか顔だけが妻の顔になる。
妻の顔をした何者かが寝ている自分を見ながら笑うんだという。

それって幽霊じゃないですか?と言うと、 
「違うよ頭の中で作り出してる想像の産物だよ」
と一笑に伏すのだが、
「妻はまだ生きてるけどお互い納得して離婚したんだからね」
だが、小此木さんのお姉さん曰く、それは嘘で彼のDVが原因での離婚らしい。

今も引っ越すたびについてくる。

それを信じたくなくて頑なに彼は見えないふりをしているんだと思う。

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京都心霊カウンセラーの姉妹 投稿者:クレイドール

京都市の高校二年生、タエ子さんはクラスでの孤立感に苛まれて悩んでいた。

心配した叔母からカウンセリングに行くよう勧められ、赴いたのが新学期前の春。タエ子さんは一軒の町屋の前に足を止めた。
タエ子さんは内心渋々であったという。

以前、叔母に半ば強引に連れて行かれた寺の住職から、貴女の後ろに生霊が憑いている、祓えないことも無いが、それ以上の事は私の力を超えているから他の位の高い僧に相談しなさい。そう言われて失望したことがあった。
結局何にもならなかった。叔母の紹介じゃ今度も期待出来そうにもない。

特にカウンセリングをしているというような看板も出てない、一般の住居に違いはなかった。
コード剥き出しの古い押し鈴を鳴らし、曇りガラス越しに人影が現れたかと思うと、引き戸が開いて顔を見せたのが着物姿の若い女性であった。

「ようおこしやす、待ってたで。早よお入り」

そう促されて土間に入ったタエ子さん。石の三和土のある床の高い店の間に通されながら、タエ子さんはある違和感がふと頭に過ぎった。

この人、私より少し年上みたいだけど、ハーフみたいだなぁ。それに凄く綺麗な人だし。それなのに雰囲気の合わない京都弁がまた可愛く思えた。

店の間で少し待つように言われて、分厚い座布団に正座していたタエ子さんは、居間でしゃがみ込むように習字をしていた中年女性がいる事に気付き、ぺコンと会釈した。しかしその中年女性はタエ子さんに構うことなく和紙に達筆な字を一心不乱に書き記していく。

習字の先生なのかな、何だか古い文字だし。するとこのお宅は習字の教室?
ここで生霊とか何とかオカルトな相談しても意味無いんじゃ?叔母さん、間違えてるんだ。そうに決まっている。当てにはならないんだから…。
でもさっきのお姉さん、待っていたみたいな事言ってたし。

そう疑問を顔に出していたタエ子さん、先程の女性が再び顔を見せ、「お姉ちゃんすぐ来るし」と言って、前に正座して来たので慌てて背筋を正した。

「そんなにかしこまらんでも。気ぃ楽にしよし、お姉ちゃんに任せといたらええねんから」
そう言って微笑んだその顔を見てますます綺麗な人だなぁと、思わず見とれてしまったタエ子さん。

それにしても…。
そのタエ子さんの心を見透かしたように、「ええねんで、ウチ、ハーフやし、この見た目やから差別とかまぁ少しはあったんやけど、気ぃ強いから何ともあらへんかったし。性格父親譲りやねん。ウチもお姉ちゃんも。スペイン系フィリピン人やねん、オトン。お母ちゃんは霊能者で、留学してたオトンに惚れたお母ちゃんがこの家に引き連れてきて、で、そのまま結婚したんや。ほんで生まれたのがうちら姉妹言うわけ」
はあ…。捲し立てる少し年上の女性に呆気に取られていたタエ子さん
お姉ちゃんと呼ばれたその女性も京友禅が似合う、それでいて落ち着いた雰囲気の佇まいであった。
クルと呼ばれた女性の真横に座り、二人、タエ子さんと向かう形になってしまい、タエ子さんはさらに緊張してしまった。

この世にこんなに綺麗な姉妹がいたなんて…。
劣等感に苛まれ始め、視線を合わせることが出来ない。お姉さんが優しく言い聞かせるように語りかけた。

「この家の主で、高田・バウディスタ・純でございます。妹は高田・クルス・由梨。ミドルネームは父親が付けたんです。祖先は修道士やって、ウチら二人の由来もそこから。ようおこしくれはりましたなぁ、長い事お待たせしまして申し訳ありまへんえ。奥の神の間で祈りを捧げてましたよって」
はぁ、神の間…ですか?
「いつものお勤めみたいなもんですよって、気にせんといてな。お客さん来はる時は必ず神様とお話させてもうてますし、その人の抱えてる悩みの答え、授けて貰う為に欠かせへんさかいに」

神様ですか…。

お姉さんの純さんが、「クル、アレ持って来て」と指示して席を立たせ、由梨さんが奥の部屋に向かった。
「タエ子さんがここに来やはる前に、神様にお尋ねしたんや、タエ子さんの抱えたはるのが見えたよって」
するとお姉ちゃん。そう妹の由梨さんが持って来た物を目の前に置いた。それは白いピーニャ(パイナップルの葉の繊維を織った布)だった。
透けた光沢のあるそのピーニャを見たタエ子さんは、これが神様からの授かり物?と訝しんだが、
お姉さんの純さんが、「神様、タエ子さんにええもん授けてくれはったなぁ」と、由梨さんと二人で微笑んだが、タエ子さんにはただの白い布でしかない。確かに高級っぽい布ではあるかもしれないけど…。

「タエ子さん、見えたぁらへんから、お姉ちゃん見せてあげて」と由梨さんが言うと、「もうすぐタエ子さんにも見えるさかいに、ちょっとの間待っといてな」と、由梨さんを窘めつつ、タエ子さんに言い聞かせた。
白い布。その布に小さな剣が出てきた。

ええっ!?タエ子さんが目を開いて身体を引き気味にしながら両手を口に当てた。
今の今までピーニャの表面には何も無かった。

それが、まるで白い湖面から浮きがって来るように剣が現れた。タエ子さんが見たことのあるRPGゲームに出てくる様な逆さになった剣だった。
手のひらに乗る小さな剣。おもちゃみたいな…。「その剣、自分で空気を斬るようにしてみ」
言われた通り、タエ子さんはその小さな剣を持ち、「縦に真っ直ぐ」とジェスチャーされて、フッと目の前の空気を斬ってみた。

すると、タエ子さんの身体の周りの風がフワッと流れ、髪が揺れた。
「どう?空気流れたん分かったやろ?」
「タエ子さん、さっきまでと顔違うわ、明るくなってるでお姉ちゃん」
「周りを包み込んでいた黒いオーラが晴れたなぁ、剣で自分の闇を斬ったんや」
確かに風が通ったのは感じた。
気持ちの重さも軽くなったようにも思える。でも…。

「タエ子さん自身が悪い霊、引き寄せてたんやねぇ」
「クル、悪い霊ってホンマはおらへんねんで、悪霊とか、地縛霊とか言うんは、そもそも人間が分類したもんやし。自分で自分を悪霊とか思わへんやろ?タエ子さんは思春期やし、霊感も強かったんやね。引き寄せてた言うても、タエ子さんが悪いって言うやないんやで。学校いうとこは色んな人やはるやろ、その分色んな気持ち言うか。色んなオーラ持ってる人もおるんや。うちら姉妹もそういうことあったやろ?いじめとか、みんなから仲間はずれされとうない言う人もおるし、それで良くない言うかネガティブなオーラも増えてしまうねん。それがタエ子さんにもインフルエンザみたいに罹ってしもた言う訳」
じゃあ、生霊とかも?
「うん、霊なんてそこらウヨウヨいるねんで」
お寺のお坊さんは祓えないって言ってたのに…。
「その剣、タエ子さんにあげるね。神様からタエ子さんに送られてきたもんやし」
この剣をですか?あ、ありがとうございます…。

お礼を言って席を立ちかけたタエ子さん、話していて夢中になっていたが、来た時居間で習字をした女性がいないのに気が付いた。
あの、先程おられた方は?習字の先生だと思ったんですが。
姉妹は、ああ、と顔を見合わせて、「ええねん、気にせんといて。前から居やはる人やし」
そ、そうですか。
「うん、ウチらが生まれる前からな?お姉ちゃん」
「そうそう、ウチらのお母ちゃんのおばあちゃんの生まれる前からやな」
え?
「時々現れはるねん、気に入ったお客さん来やはると時とかな」

お礼をしてお宅を後にしたタエ子さんが家に帰ると、貰った剣を改めてまじまじと見た。
この剣をまた使えば生霊を祓えるのか…。
お姉さんからは、学校に持って行っても良いって言われたけど。…タエ子さんは、これをいつもクラスにいるムカつくいじめっ子とかに斬りつけたらどうなるだろうと考えた。

そっちの方が効果あるんじゃ?
頭の中に何人か思い描いた。

新学期にでも試してみよう。
鞄にしまおうと開けると、和紙が入っていたのに気づいたタエ子さん、これって?
文字が書いてある。
タエ子さんは思わず持っていた和紙を破いてしまった。

和紙には 『人を呪わば穴二つ』と書いてあった。
書体に見覚えがあった。

あの習字の先生の字だった。

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怪獣映画 投稿者:おくびょうカリー

これはとある映画を見ていた時の話だ。
それは一部の人間にとっては話題の映画だった。
というのもその映画には、映ってはいけない人間が映っているというのだ。
この映像に気付いたのは映画の感想を書いているブロガーだった。

内容は人間の環境破壊に怒った怪獣が人間を襲うというよくあるものだ。
子供向けとして作られたが、この話が出回ってからは公開が中止になるほどだった。
配信もとりやめになり、映画公開と同時に発売されたDVDが現存するだけで、見る手段は限られている。

公開から20年、動画配信者が生配信で映画を検証するという企画を立てた。
実際はスタッフやエキストラが映ってしまっただけなのだろうと思っていた。
動画配信者が映画を見ながら配信をしていると、急に映像が乱れた。

視聴者は演出の一部だと思ったのだが、数分後、事態は一変した。
配信者が画面の前で倒れたまま動かない。
最初はドッキリかと思った視聴者も、数分経っても何も変化しないその映像にだんだんと恐怖が増してきた。

何故ならこの動画配信者はチームでやっているはずなのに、スタッフの誰一人として彼に近づかないからだ。
それに加えて、一切の音がしない。
呼吸音や生活音、全ての音がだ。
そのまま画面はブラックアウトし、配信は急に終わった。

翌日、生配信が行われていた場所から4人の変死体が発見された。
配信者の知人の通報で駆け付けた警察は言葉を失ったそうだ。
そこにあった死体は、まるで子供が遊んだかのようにばらばらに引きちぎられていたからだ。

おかしいのはここからだ。
生配信を行っていたはずの配信者は、配信を行う数時間前には死んでいたそうだ。
そして体を引きちぎったのも彼だった。
時間から考えて、あの配信中に行われていた。
だが、視聴者の誰一人としてその映像は見ていない。

ならば、あの映像は何だったのか。
アーカイブにも残っていなかったが、録画していた人物がいたようで、数日後SNSでその時の配信を投稿した。
ほんの数秒、だが視聴者を恐怖させるには十分だった。

けたけたけたけた

真っ黒い画面の中で子供の笑い声が響いている。
そしてその子供の顔が見え、手がこちらに向かって伸びた瞬間、そのアカウントは消えた。

あの映像は何だったのか、あの時の事件は何だったのか、それから数年たった今でも何も分かっていない。
後に映像を最初に発見したブロガーが、オカルト雑誌の記者にインタビューを受けた。
その際に発した言葉に、世間の人々はより恐怖した。

雑誌記者「あなたが見たのは子供の映像だったんですか?」

ブロガー「知らない、そんな子供知らない。だってあの話は話題性を狙った嘘だったんだ。」

あの子供は今でもネットの世界から誰かを狙っているのかもしれない。
あなたが見ている画面は、本当は、コドモガノゾイテイルrrrrrrrrrr

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ホラーコンテンツを扱う際は最新のご注意を… 投稿者: 東京都カレー屋 P

わたしは東京でカレー屋を営んでいます。
以前、とあるCというホラーゲームとコラボをさせていただいた事があり、
その準備をと張り切り早朝から仕込みを頑張っていた時の話です。

いつものように鍋でカレーを煮込んでいた時に、いきなりTシャツの腰あたりを強い力で二度引っ張らるような事がありました。
それはまるで小学生低学年くらいの子供が『ねぇねぇ』と誰かを呼ぶ時のような感じでした。
店内には自分一人、もちろんそのような子供がいるわけがありません。

あれは一体なんだったのか未だに謎です。

その他にもそのCコラボを開催中のとある日、
ラストオーダーも終わりお客様も全員退店され閉店作業を行なっていた時の事です。

キッチンカウンターの中で作業をしていた際にふとカウンターの向こう、
つまり客席側の視界の端に頭のようなものが小走りするような速度で横切ったのを捉えました。
あれ?誰かまだお客さん残っていたか?と一瞬思い客席側の様子を見に行きましたがそのような事はありませんでした。

店の入り口には古めに自動ドアがついておりお客様の来店時にかなり大きめな音を立てて開くのですが、もちろんそのドアは動いた形跡はなく店内からは誰もいないし誰も出ていないはず。

カウンターの高さは120cmほどなのでカウンター越しに頭がかすかに見えるという事はおそらくまた小学生低学年ほどの大きさでしょうか。
以前にあったTシャツを引っ張られた件といい何か関係があるのかなと思いました。

その後もコラボ開催期間中にビル1階のエントランスのエレベーター付近で休憩を取っていた際に、1階に待機していたエレベーターのドアが突然開き、そしてまた閉まるという現象も目撃しました。
その後どこかに移動するわけでもなく、待機していたエレベーターのドアがただ開いて、そして閉まる。

もちろん自分はボタンに触っていないため、このような動きは明らかに不自然でとても不気味でした。
まるで目に見えない””ナニカ””が内側からボタンを押しエレベーターの中に入るかのような…

自分自身霊感の類はゼロに等しくこの手の出来事に無縁だったのですが短期間に立て続けに3件も遭ったので驚きを隠しきれませんでした。
ホラーというデリケートなコンテンツを扱うにあたり事前にお祓いをするなどしっかりした対策を取るべきだったなと今でも反省しております。

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